オンラインで修士号を取ろう!The Road to Get MPH

IT企業で仕事をしながら、公衆衛生の修士号を取得するまでのブログです。2015年8月にUniversity of Liverpool Master of Public Health program Management of Health Systems course に合格。

Module 1が終わりました(後編)〜"Practicing and Promoting Public Health in a Global Context"〜

2015年10月8日にスタートした、University of Liverpool online Master of Public Health 〜Management of Health Systems〜。

前編として、Module 1 のUnit 1〜3までをまとめました。

 

後編では、Unit 4〜6をまとめました。 

 

Unit 4:Wider determinants of health and health inequalities

 

Unit 4 では、healthに関する決定要素、つまりどんなことが健康に影響を与えるかについて勉強しました。

決定要素の例で挙げられているのは、給与、労働時間、企業年金、休日を獲得できる権利、仕事でのアクシデント、有毒物質への暴露、仕事の安全性、権利やステータス、自治性などです。
WHO、厚労省のデータは年齢性別切られているデータが多いのですが、Unit 3で紹介されたGapminderやGBD Compareを使えば、上に挙げた決定要素で比較ができるので勉強しててめちゃくちゃおもしろかったです。

課題の影響元があれば、課題に対する対策の影響先があるのも世の常です。公衆衛生ではロジカルに要素を分解してどの視点から発言をしているのか明らかにするのがセオリーみたいです。
対策の影響先は4つあります。

  • Strengthening individuals:個人に影響を与えるもので、対策の例としては、子育て教育、アルコール中毒改善プログラムです。
  • Strengthening communities:地域に住む人々に影響を与えるもので、会社での研修や地域の清掃などがこれにあたります。
  • Improving access to facilities and services:これは医療施設やワクチン接種のサービスを受けやすくするというものです。日本だと問題になりにくいですが、母国語以外でのサービス提供などを行うことで、マイノリティーの健康状態を向上させるといった場合の対策がこれにあたります。
  • Encouraging a healthy public policy:これは難易度が高く、社会的、経済的変革をおこす場合に、関係者(政治家、専門家、ロビイスト)を巻き込んで、条例や法律を制定させていくものです。貧困が健康悪化の原因になっている場合、収入をサポートする条例を制定するといったような例が世界にはあります。

ライフスタイルの中に課題の原因が存在し、それらを解決するには4つの影響先を考える。単純ですが、常に意識するのはなかなか大変だと実感しました。

 

Unit 5:Theoretical models of health promotion

Unit 5からは、細かい内容が増えていきました。このUnitでは、health promotionのアプローチには5つの種類があるというものと、それを支えるセオリーがあるよ、という話でした。
5つの種類のアプローチのみ、ここでは紹介します。

  • The medical approach:
    死亡率や疾病率を減少させることを目的としたアプローチです。アプローチには3つのレベルがあります。
    1. 一次予防:予防接種やたばこをそもそも吸わせない教育
    2. 二次予防:検診を行い、病気をスクリーニングすること
    3. 三次予防:リハビリや緩和ケアなど、病気を軽減すること
  • Behavior change:
    健康を改善するために、健康的な行動を促進するアプローチです。
    マスコミュニケーションを使った健康の普及や、最近ではソーシャルマーケティングがこれにあたります。
  • The educational approach:
    Behavior changeは情報を与えることで行動変容をおこすアプローチですが、The educational approachは、結果が出るように計画され、モチベーションを刺激しながら行うアプローチです。
    適正な知識が増えると行動が良くなることを前提として、プログラムを組んでいます。ステップは3段階で、
    1. 認知(情報と理解)
    2. 影響(態度と感情)
    3. 行動(スキル)
    を踏むことで初めて、健康に関する適切な意思決定ができるようになるというアプローチです。
  • Empowerment:
    人々の心配事を認識させ、それに対する行動が取れるようにスキルと自信をつけさせるアプローチです。ボトムアップ型のアプローチで、医療の専門家やソーシャルワーカーなどが中心となって地域を盛り上げていく必要があるものです。
  • Social change:
    政策や外部環境に対して、物理的、社会的、経済的に変革を起こしていくアプローチです。ロビイングを利用しながら規制を変更したり、トップと交渉することで組織的に変革をおこす方法で、食品ラベルのルール策定、タバコの広告規制などが例として挙げられます。

長かった・・・。ま、こんな勉強をします。

Unit 6:Applying principles of prevention and promotion

最後のUnitでは、いままで習った5つのUnitの手法や考え方を、どう現場のpromotionに適応していくかの勉強でした。
適応するには2つのアプローチがあります。

1つは、対象となるコミュニティを評価(アセスメント)して、地域の人を巻き込みながらpromotionを考え、進めていく方法です。

もう1つは、厚労省の統計データや医療記録から問題を洗い出して、promotionを決めていく方法です。

前者はアンケートなどを利用する消費者行動を分析する方法にとても似ていると思います。後者はデータドリブンな組織なら当たり前のようにやっている、データから課題を導くアプローチです。

これからはデータを使ったアプローチが主軸になると思いますが、整合性やリアルタイムなデータ集積のことを考えると、まだまだコミュニティを対象とした地道なアプローチは重要です。

 

最後に

これら6つのUnitで習ったことを総合した最後の課題は、2500wordsのレポートと500wordsのエッセイでした。

2500wordsのレポートでは、「B型肝炎ウィルスに関する日本の現状とそれに対する現実可能なアプローチ」を書きました。

500wordsのエッセイでは、Unitで身につけた知識、ディスカッションを通じて学んだスキルについてまとめ、将来どう活かしていくかをまとめました。

 

長々と書いてしまいましたが、本当に充実した3ヶ月でした。学ぶことは本当に脳のトレーニングになります。インプットもアウトプットも充実したプログラムでした。

 

1月8日から、Module 2が始まります。楽しみ、楽しみ!

ちゃお

 

参照

  1. Naidoo, Jennie. Foundations for Health Promotion, 3rd Edition. Elsevier Health Sciences, 2013-01-30. VitalBook file.

  2. Walley, J. & Wright, J. (2010) Public health: an action guide to improving health. Oxford: Oxford University Press. Chapter 4, ‘Health needs assessment’ (pp.35-47)

  3. Cavanagh, S. & Chadwick, K. (2005) 'The five steps of health needs assessment'. In: Health needs assessment: a practical guide. England: National Institute for Health and Clinical Excellence, pp.20-47. Available from: http://web.archive.org/web/20140611033453/http://www.nice.org.uk/media/150/35/Health_Needs_Assessment_A_Practical_Guide.pdf (Accessed on December 20, 2015).